クルド人難民Mさんを支援する会 ブログ

日本で難民申請をしているクルド人の難民、Mさんを支援する会のブログです。支援の状況をタイムリーにお知らせします。 支援会本サイトはhttp://chechennews.org/msan/です。

トルコ国籍クルド人の初難民認定についての声明

       

       トルコ国籍クルド人の初難民認定についての声明

 私たちは日本での保護を求めるクルド難民申請者を支援する市民団体です。

この度、トルコ国籍クルド難民申請者が初めて日本で難民認定されたことを受け、声明を発表します。

  トルコ政府からの迫害を逃れ、日本に初めてクルド難民がやってきてから30年が経とうとしています。

今、ようやく難民性が認められ、1人の方が難民認定され、保護を得られたことを、とても喜ばしく、歓迎します。 しかし、ここまで辿り着くまでに、あまりにも多くの時間が費やされたことを私たちは指摘します。

現在、トルコ国籍のクルド人は日本に2,000人ほどいると言われています。多くが難民申請を行なっていますが、これまで難民として認められた人は一人もいませんでした。退去強制令書を出され、トルコに帰国することを強いられた人も大勢います。しかしトルコはクルド人にとって安全な国ではなく、根強い差別や弾圧が続いていることは国際的には周知の事実です。
 日本は国連の難民条約に加入しており、難民を保護する義務を負っています。それにもかかわらず日本政府は難民の定義を厳格に解釈することで認定の幅を狭めており、日本で難民申請をしてもほとんどの人が不認定となっています。特に、トルコ国籍のクルド人については、友好国であるトルコ政府との関係維持を優先し、迫害の事実から目を背け、クルド人を保護しないばかりか、あまつさえ迫害の待つトルコへの帰国を強制し続けてきました。

私たちはこれまで、日本で暮らすクルド人たちの苦しみの声を間近で聞き、苦難を見続けてきました。ある人は帰国の恐怖や日本での不安定な暮らしに絶望し、自ら命を絶ってしまいました。また、ある人は入管収容施設に長期間収容され、ガンの発症によって激痛が生じていたにもかかわらず、適切な医療を受けられずにガンが悪化し、転移しました。日本人と結婚したにもかかわらず、在留資格を得ることができず、先の見えない不安な日々を送っている人、幼少の頃に日本にやって来たり、日本で生まれたりして、日本の学校で教育を受けたにもかかわらず、仮放免であるために進学や就職もままならず将来を描けずにいる子どもたちも増えています。
 その全ての原因は、日本が保護するべきクルド人難民を保護せず、帰国を強いていることに起因します。
 今回の難民認定を大いに歓迎します。しかし、この男性一人だけを難民認定しても、事態は全く改善しないことは明らかです。
 ましてや、認定を出す一方で、今秋提出予定の「入管法改正案」によって申請者を選別し、強制送還を促進することは断じて許されません。

より多くのトルコ国籍クルド難民を難民認定し、日本で適切に保護することを私たちは望みます。

 

2022年8月9日

賛同団体(五十音順)

クルド人難民Mさんを支援する会

クルド難民デニスさんとあゆむ会

クルドを知る会

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