クルド人難民Mさんを支援する会 ブログ

日本で難民申請をしているクルド人の難民、Mさんを支援する会のブログです。支援の状況をタイムリーにお知らせします。 支援会本サイトはhttp://chechennews.org/msan/です。

展覧会2日目(9/15 トークイベント編)

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クルドを知る会代表の松澤さんと一緒にお話しさせて頂きました。

14時からトークイベントを開催しました。この日の朝、朝日新聞のさいたま版に展覧会の紹介記事が掲載されたので、朝から何人かの方からお問い合わせの電話を頂きました。
本日、トークイベントを開催することをお話しすると、駆け付けて参加してくださった方も。新聞の力を感じました。

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トークイベントには三連休の中日にもかかわらず、多くの方々にお集まりいただき大変嬉しく思いました。

まずクルド人とはどのような人たちなのかをスライドで上映、クルドの人々がなぜトルコから日本に逃れてくるのか、トルコではクルド人に対してどのような迫害が行われているのかをお話ししました。

クルド人への迫害といっても、日本ではなかなか馴染みがないと思いましたので、クルド人ジャーナリストのレフィク・テキンさんからご提供頂いた映像の上映をしました。
3月の講演会でもレフィクさんの映像を上映しましたが、更に新たな映像をレフィックさんからご提供いただきましたので、初公開となります。

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クルド人ジャーナリストレフィク・テキンさんが新たに送って下さった映像を上映。

2015年12月から16年1月にかけて、武装勢力クルド労働者党(PKK)掃討の名目で、トルコ治安部隊がトルコ南東部の街ジズレを封鎖しました。映像は街が治安部隊によって攻撃される様子を捉えています。
冒頭は、子どもたちが路地で石蹴りをして遊んだり、女性たちがパンを焼いています。
不意に山の向こうから戦車がやってきて、民家へ砲撃を始めます。
クルドの人々のささやかな日常が、突如、トルコの治安部隊によって破壊されていく。その様子をカメラが克明に捉えています。

続いて、ジズレの街で負傷した人々を、レフィクさんをはじめ、クルド人の国会議員が救急車を伴って救援に向かった映像も上映しました。
治安部隊の発砲による負傷や流血が生々しく写る映像は、非常に衝撃的で、参加者の方々はとても驚いていらっしゃいました。

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2016年1月、トルコ南東部の街ジズレで起きた事件の映像を上映。封鎖された街の中で起きた事件を知っていただきました。

上映後、自国民であるクルド人対し、テロリスト掃討の名の下に、トルコ軍は明らかに一般市民と分かる人々にさえも銃口を向け、一方的に殺害してしまう。それは、トルコ政府のクルド人に対する差別の眼差しが端的に表れています、とお話ししました。

 

次に日本の難民問題についてお話ししました。
トルコ政府の迫害から日本に逃れてきたクルドの人々が、難民申請をした場合、どのように審査されていくのかをお話ししました。
トルコ国籍のクルド人が今まで一人も難民認定されず、不認定となっていること、しかし他国では認定されていることなどをお話しすると、みなさん驚いていらっしゃいました。
現在の状況として、収容の長期化とオリンピックの関係、収容によって多くの収容者が苦しんでいること、必要な医療を受けさせてもらえなかったために死亡者も出ていること、精神的に追い詰められた収容者たちが大規模なハンガーストライキを行っていることなどを、新聞記事を交えてお話ししました。

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新聞記事を交えながら、今の入管の状況をお話ししました。

 

クルドを知る会の松澤さんからは、リオデジャネイロのオリンピックから難民チームの参加が始まったが、一方で、リオの街のスラム街を潰してオリンピック施設を建設した。オリンピックにはそういう側面もある。

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日本は4月から外国人労働者の受け入れを始めたが、単に労働力不足やモノ不足を解消のためという視点でしか労働者を見ていない。
毎週一回東京入管に、月に一回牛久入管に面会に行っているが、入管の医療は非常にひどく、医者の診察もあるにはあるが、治療はせず、ただ薬を処方するだけである。そのため、中には1日に薬30錠もの薬を処方され、毎日飲まされている収容者もいる。と話して下さいました。
また、極度の体調不良となり、収容所から仮放免で解放され、家族の元に帰れたとしても、心身の不調は続く。収容されていた時のストレスや、再び仮放免を取り消されて収容されるのではないか、という恐怖から、ずっと家から出ず寝込んでしまう人もいる、と、話して下さいました。

松澤さんのお話しを伺って、収容による心身の破壊は計り知れないのだと改めて感じました。

 

最後に、会場で署名集めをしている、メメット・オズチャルギルさんのご親族の方からアピールをして頂きました。
オズチャルギルさんの長女は、幼少の時に自宅にトルコ警察がやってきて捜索を始めたため、急いで家の屋根の上に逃げたそうです。誤って長女は屋根から落ちてしまい、脳に障害を負ってしまいました。
いつも恐怖に怯えている長女ですが、父親であるメメットさんには心を開いていました。メメットさんが収容されてしまったことで、精神的に更に不安定になってしまい、夜に家を飛び出して車に引かれそうになったことも。
親族の男性も、長女を落ち着かせるために、すぐに家に来て欲しいと呼ばれることがよくあり、駆け付けて夜中まで面倒を見ることがよくあります、と話して下さいました。
こちらの男性ご自身も、トルコでの兵役を拒否するため日本に逃れました。同胞であるクルド人に銃を向けることはできないと考えたそうです。現在、難民申請中で、日本人の女性と結婚したものの、未だ在留資格を得られず仮放免の身とのことでした。

トルコのクルド人への迫害と、日本でのクルド人の苦しみ。参加された皆さんの胸には、様々な思いがこみ上げげてこられたようで、終了後は多くの方が話し掛けて下さいました。
獨協大学の先生からは、授業でレフィクさんの映像を上映したいと仰って下さいました。
川口で日本語教室で教えている方からは、クルドの問題にかかわるきっかけは何だったのですか、とご質問して下さり、参加できて良かったです、と仰っていただけました。
NHKEテレで「バリバイ一家の願い」の放送をご覧になった女性もいらっしゃり、仮放免中は働いてはいけないということですが、皆さんどのように生活しているのですか、と質問して下さいました。

ほとんどの方が、9月23日の川口メディアセブンの講演会にも参加します、と仰って下さいました。
私たちのメッセージが、みなさんに届いたと感じ、本当に嬉しく思いました。

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いつも応援して下さる専修大学の先生にもお越し頂きました。

※記事中の写真の何点かを専修大学長谷川宏先生にご提供頂きました。ありがとうございました。

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クルド人ジャーナリストRefik Tekinさんのトルコにおけるクルド人の抑圧の写真も展示中です。