11/10(日)、高校文化祭での難民写真展は、いよいよ今日が本番です。多くの方にご来場いただきました。
写真展の端から端までご覧になっている男性のグループがいらっしゃいました。
学校のご近所の町内会の皆さんのようです。お見掛け70~80代と見られる皆さんは、
メモを取ったりされながら、非常に熱心にご覧下さいました。
大変ありがたいと思いました。
3才くらいの坊やを連れたお母さんがいらっしゃいました。坊やはレフィク・テキンさんが撮ったトルコ・ジズレの家屋が燃えている写真を指差しながら「燃えてる 。何で?」と、不思議そうに聞いていました。坊やのお母さんは、クリスチャン・ ヴェルナーさんのシリアの瓦礫の街に佇む子どもや、暖房用の薪を集める子どもの の写真を指差しながら、「このお兄ちゃんたちは、お家がないのよ!◯◯ちゃんは 、シンカリオン(新幹線のアニメ)のおもちゃ持っているでょ!このお兄ちゃんた ちは遊ぶためのおもちゃもないのよ!一緒にお友達と遊ぶこともできないのよ!分 かる?」とすごく熱心に坊やに話して下さいました。
何だか胸が熱くなりました。
シリア難民の少年が義手を付けて貰っている写真は、非常にインパクトが強いようで、どの方もはっとした表情で、立ち止まってご覧になります。
共同通信の平野雄吾さんの作品です。少年の右腕には手首から先がないので、多く の方が驚かれます。写真をよく見ると少年は右腕全体が義手であることに気付きま す。キャプションを読むと、少年は11歳であり、シリア北西部のイドリブ県で、 空爆によって右手を失ったことが分かります。
テレビやネットで見聞きする空爆。その下では、どのようなことが起きているのかを知っていただければと思いました。
「日本に逃れて来た難民の今」のコーナーには、日本の難民認定率の低さのほか 、長期収容やハンガーストライキ、再収容など、今まさに入管で起きている事件に ついて展示しました。
ご家族連れで来られた皆さんが、長い時間をかけてをご覧くださいました。フリージャーナリストの樫田秀樹さんの写真と記事です。
ご覧になった後に、アンケートも書いてくださいました。真摯な内容が胸を打ちました。本当にありがとうございます。
会場の黒板には、先日NHKのETVで放送されて大反響となった「バリバイ一家の願
い~“クルド難民”家族の12年~」が上映されていました。こちらの番組は2019年6月度の放送批評懇談会のギャラクシー賞も受賞した優れたドキュメンタリーです。
ナレーションで繰り返し「牛久の収容施設で」という言葉が流れ、そこに入管の収
容施設があると説明されたので、会場に来ていた男性が「ああ、だから最近、牛久 、牛久、とよく聞くようになったのか!」と合点がいったように話していらっしゃ いました。すかさず「そうなんです!牛久には外国人の人たちを収容する施設があるんです!」と、入管の問題を説明しました。
来場された方の中には、中国語で話しているご家族もいらっしゃいました。
こちらの学校に勤務されている先生に伺ったところ、この高校はかつて中国からの引き揚げ者を受け入れたこともあったそうです。そのため、中国に限らず、多様なルーツを持つ生徒を受け入れる風土があるとのことでした。
会場片隅には、様々な言語で書かれた「たのしいがっこう」というテキストが展示してありました。言語の種類は17種類もありました。
英語、中国語はもちろん、韓国語・朝鮮語、ネパール語、アラビア・ミャンマー語、フィリピン語、シンハラ語、ベトナム語、モンゴル語、タイ語、フランス・ラオス語、スペイン語、ポルトガル語、インドネシア語、ロシア語、ルーマニア語、トルコ語。
この学校の先生方は様々な国からやってきた生徒さんたちと日々接し、言葉のハンデや文化の違いを乗り越えながら、授業や進路の指導をなさってきたのだなと感じました。
非常にドラマチックなエピソードの数々を伺うことができました。せっかく就職先が決まりそうになったけれど、算数の計算など基礎的な学力がなかったので、就職が取り消されそうになった生徒さん。他校の先生とも協力して補習授業をし、技術を覚えてもらって無事に就職できたことや、その就職した生徒さんが会社の社長になり、外国ルーツの生徒さんを採用してくれたお話しなどを伺いました。
温かな気持ちが、人と人とをつないでいくのだと思いました。外国ルーツだけでなく、障がいを持つ生徒さんなど、様々な事情を抱えた生徒さんを温かく迎え、一緒に困難を乗り越えてゆく学校なのだなと思いました。
こちらの学校で難民写真展を開催させていただけて、本当に良かったと思いました。