クルド人難民Mさんを支援する会 ブログ

日本で難民申請をしているクルド人の難民、Mさんを支援する会のブログです。支援の状況をタイムリーにお知らせします。 支援会本サイトはhttp://chechennews.org/msan/です。

【医療問題】東京入管が症状の放置隠しで虚偽記載・法務大臣による発言

Mさんの件ではありませんが、東京入国管理局で起きた事件としてご紹介させていただきます。

2018年4月22日、共同通信よりこのような記事が配信されました。

入管が症状放置隠しで虚偽記載か トルコ男性を1カ月受診させず(2018/4/22 19:00)
https://this.kiji.is/360724293602739297

記事の内容としては、
東京入国管理局(東京都港区)で昨年、トルコ人男性収容者(29)が虫垂炎の手術後、患部の痛みを訴えたのに職員が約1カ月間、診療を受けさせず放置した上、診療に関する手続き文書に虚偽の発症日を記載した疑いのあることが関係者への取材で22日、分かった。長期間、医師の診療を受けさせなかった事実を隠すためとみられる。」
というものです。

この記事について、法務大臣から4月24日の閣議後の会見で発言がありました。

「この方については当省において、激しい腹痛を訴えておられました。当局の職員は、この本人の症状を踏まえ容態観察をしていた中で、緊急搬送を行ったところでございます。その後、医師の診察を受けて対象者に手術をうけさせたところであります。
対象者からの診療申し出にかかる書面に関しまして、事実を記載したものということで虚偽の内容はなんら含まれておりません。
手術後、1か月以上にわたり、医師の診察をなんら受けさせなかったということはございません」

とのこと。

しかし、このトルコ男性の関係者からの情報によると、
こちらの男性は昨年6月4日に虫垂炎のため東京高輪病院に搬送され、緊急手術のため入院。
6月11日の退院後に収容所に戻されました。
代理人弁護士が 6月19日の接見で「膿が出ている」という本人の訴えを聞いて、同月27日付抗議書に記載し内容証明郵便で申し入れています。
また、吐き気の訴えがあったことも6月30日の接見時にメモしています。

ところが7月23日付の申出書(診療)には、職員の手によって、
「一昨日から腹部に痛みがあり、膿も出ている」「一昨日から食べ物を見ると胃の痛みと吐き気を感じる」と記載されています。
本人はもちろん、「おとといから」とは言っていないと述べています。
本人の口頭の訴えにしばらく対応せず、7月24日の診療の前日になって、職員が申出書に記載したと思われます。

6月11日の退院から7月23日付の申出書(診療)までの間に手術痕の痛み、膿、吐き気に関する訴えが記載された診療申出書は、存在しないとして、開示されていません。

・・・・・・・・

法務大臣は「手術後、1か月以上にわたり、医師の診察をなんら受けさせなかったということはございません」と発言しましたが、提供された情報を見る限り、それは事実と異なると思われます。

法務大臣が事実を歪曲するような発言をすることは、許されることではありません。

近年、適切な医療が受けられず、入管収容施設内で収容者が死亡する事件が多発しています。
毎年、死亡者が発生しているにもかかわらず一向に状況が改善されないのは、入管職員の収容者に対する非人道的な意識、日本から出て行くべき人たちだという差別的な意識があるからだと思われます。

多くの方にこの事実を知っていただきたく思い、また、更なる犠牲者を生まないため、ここに紹介させていただきました。

※掲載した「看守勤務日誌」については、ご本人から匿名公表の了解を得て関係者より提供されたものです。
 虫垂炎の痛みを訴え、外部の病院に搬送されるまでの間も、適切とは言い難い対応を入管職員が取っていたことが分かります。

 

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クルドスイーツ★パラダイス  しばしば舎

蕨のカフェで「クルド スイーツパラダイス」というイベントがあったので早速行ってきました。

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クルドのお母さん達の手作りスイーツ6種類が食べ放題。飲み物も付いています。蕨駅東口から徒歩4分ほどの「しばしば舎」というおしゃれなブックカフェです。Mさんにも来ていただきました。ナッツ入りのクッキー、ケレビスを食べて「美味いね!」と笑顔のMさん。「家族が日本にいた頃は、うちの奥さんもよく作っていたんだよ」と、話してくれました。お店の方がMさんに話し掛けて下さったので、Mさんは地図を示しながら、今のクルド情勢を話してくれました。1月20日からシリア領内のアフリンというクルド人が多く住む地区に、トルコ軍が国境を越えて進軍。そこに住むクルド人が殺害されているとのこと。お店の方も真剣な表情で聞いて下さいました。

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Mさんが昨年、4ヶ月も入管に収容されてしまったことを、お話しすると「それは大変でしたね・・・」とお店の方はとても驚いていらっしゃいました。現在、蕨には1500人ほどのクルド人が住んでいると言われますが、こうして地域の方と交流できるのは、とても良いことだと思いました。
また、手作りスイーツは、蕨で開かれているクルドお料理教室というのがあり、そのつながりでお菓子を作ってくれるクルドのお母さんたちを見つけられたとのこと。店内にはお母さん達が作ったレース編みや編み物などの手芸品の販売もあり、とても素敵でした。

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クルドのことを知ってもらうのに、こういったソフトなアプローチはとても良いと思いました。
しばしば舎さんは、小さな出版社から出ている本が集められており、普通の書店ではお目にかかれないようなラインナップが目白押しです。また、読書会やTVCMの上映会など、様々なユニークなイベントも開催されており、ぜひまた伺いたいと思いました。

 

民進党の参議院議員石橋通宏さんを訪問

昨年Mさんが収容された際にご支援頂いた、民進党の参議院議員石橋通宏さんに御礼のご挨拶に伺いました。
石橋議員も秘書さんもとても優しい方で、Mさんを「仮放免されて本当におめでとう!」
と笑顔で迎えてくださり、がっちりと握手をして下さいました。Mさんも「本当にありがとうございました」と、とても嬉しそうでした。
短時間ではありますが、Mさんや日本で難民たちが置かれている状況や、東京五輪の治安対策として難民申請者が収容されていることなどをお話しさせて頂きました。
そしてMさんは仮放免されたものの体調が回復せず、就労も禁止され、健康保険もなく、病気の治療もままならない状況をお伝えしました。
石橋議員は難民の問題の他にも、外国人技能実習生などの問題にも非常に詳しく、二つの問題が繋がっていることなど、幅広い視点で私たちのお話を聞いて下さいました。
国会会期中のお忙しいなかお時間をいただき、本当に嬉しく思いました。
今後も引き続きご支援頂けるとのことでしたので、支援会はこれからもMさんが安心して日本で暮らしていけるよう、頑張っていこうと思います。

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共同通信からMさんの記事配信

2月13日(火)の神奈川新聞にMさんの記事が掲載されました。

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共同通信配信の記事なので、神奈川新聞、埼玉新聞茨城新聞信濃毎日新聞

上毛新聞、山陰中央新報北海道新聞室蘭新聞、北日本新聞、河北新報
山形新聞岐阜新聞京都新聞神戸新聞、山口新聞、愛媛 新聞、四国新聞
琉球新報などに掲載された模様です。


このMさんの記事は「不法滞在者の再収容4倍   政府、東京五輪で監視強化     難民に非人道的と批判」の記事と同時に配信されています。


支援者の立場として補足しますと、「不法」滞在者というとなんだか悪いことをした犯罪者か、見つからないように隠れ住んでいる外国人かのようなイメージがあるかもしれませんが、これは単に正規の在留資格が無い状態で日本に滞在しているという意味なので、犯罪行為とは関係ありません。
「不法滞在」というと誤解を招く場合も多いので、支援者の間では、「非正規滞在」や「超過滞在(オーバーステイ)」といった表現を使います。
非正規滞在の人の中には、Mさんのような難民申請者もいますし、日本人と結婚したものの配偶者としての在留資格がまだ得られていない人、何らかの事情で在留期間が過ぎても日本に住み続けている人、そういった人たちの間に生まれた子どもなども含まれています。
そういった人たちは、正式な在留資格はないものの、日本に住むことを希望しているので、入国管理局に行き、所定の手続きをした上で「仮放免」という条件の下、日本社会で暮らしています。
Mさんについては「難民認定申請」という手続きを入管で行っており、難民としての審査を受け認定されるのを待っている訳ですが、その間の正規の在留資格を入管は与えておらず、非正規な在留資格である「仮放免」しか認めていないという状態です。
記事では、そういった長期間仮放免を認め、収容していなかった人たちに対して、仮放免の運用を厳しくし、収容をしているということを報じています。
再収容されている人の数は、
2012年は121人、2016年は474人、2017年も9月末時点で434人に達しています。2016年から明らかに増えています。
今まで長期にわたって仮放免を認めていたということは、別の言い方をすれば、正規の在留資格はないものの、犯罪を犯したり、失踪して行方が分からなくなるということがない、或いは病気や就学など人道的な理由で入管が収容するべきではないと判断していたからだと言えます。
その判断基準を急に変更した理由が「2020年の東京五輪に向けた治安対策」とのこと。
支援者としては、既に日本社会に馴染んで長期間暮らしている人たちが、東京五輪で何か騒ぎを起こすというようなことは、全く考えられないことです。
政府や法務省、入国管理局がなぜそういう発想をし、そういった人たちを排除しようとするのか、非常に理解に苦しみます。
記事には、法務省担当者による「外国人犯罪が増えれば五輪に水を差しかねない」という言葉も紹介されていますが、滞在者と刑法犯との関連は明確ではなく、「体感的」と説明しているとのこと。
客観的なデータの裏付けもなく、体感的な理由で仮放免を取り消されたり、収容されたりするなどというのは、当事者にとっては到底納得できるものではありません。
曲がりなりにも、多くの国からゲストを迎えるのであれば、それらの人々が持つ多様な背景や価値観を尊重するのが、日本に求められている対応ではないでしょうか。
記事は、多岐にわたって非常によく調べられており、外国人に対する日本のちぐはぐな対応が浮き彫りになっていると感じました。

 

英文記事も出ています。

https://english.kyodonews.net/news/2018/02/ba5ba9227d83-more-illegal-immigrants-put-back-in-detention-after-release-in-japan.html

 

多くの新聞に掲載して頂きました。本当にありがとうございます。

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上毛新聞(2018.2.13)

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仮放免の延長できました

今日はMさんの仮放免の出頭日でした。
Mさんは入管から解放されたものの、正規の在留資格ではない「仮放免」という状態のため、入管が定めた「出頭日」に入管に赴き、自分の所在や動向を報告しなくてはなりません。
まず入管の7階の窓口に行き、入管職員の面談を受けます。前回の出頭日からなにか変わったことはあるか、どのように過ごしていたか、生活はどうしているのか、健康状態や通院状況などを聞かれます。
仮放免の延長が認められれば6階の違反審査部門というところに行き、仮放免の書類に印をもらい、次の出頭日を告げられます。認められなかった場合は「仮放免延長をしない」や「仮放免の取消し」などの理由で、そのまま収容施設に入れられてしまいます。
今回は無事に仮放免の延長が認められ、ほっと一安心でした。
次回の出頭日は3月8日(木)です。

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フォトジャーナリズム雑誌「DAYSJAPAN」2月号に、クルド難民Mさんの解放の記事掲載!

フォトジャーナリズム雑誌「DAYSJAPAN」2月号に、クルド難民Mさん解放の記事を掲載していただきました。
DAYSでは、Mさんが収容された直後から、ツイッターで解放を求めるキャンペーンを何度もご紹介頂きました。
紙面でも10月号で緊急解放キャンペーンを、12月号でその後の経過をご紹介いただきました。
継続してご支援頂き本当にありがとうございました!
DAYSで取り上げて頂いた影響は大変大きく、読者の皆様やツイッターをご覧になった方々から、寄付をはじめ、激励メッセージ、署名など多大なご支援をいただきました。
心からお礼申し上げます。本当にありがとうございました!

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DAYS公式twitterでMさん解放キャンペーンを何度も紹介していただきました!

<緊急キャンペーン>東京入国管理局に収容中 トルコ国籍クルド人難民Mさんの一刻も早い解放を! https://twitter.com/i/web/status/910154494272446465

 

今夜20:55から「クルド人難民Мさんを支援する会 」事務局長の周香織さんがJ-WAVEに生出演

https://twitter.com/i/web/status/904965819293040640

 

緊急キャンペーン クルド人難民Mさんの解放を!
https://twitter.com/i/web/status/910151292516917250

月刊「子どもの文化」1月号に掲載

月刊「子どもの文化」1月号の特集は「世界の子どもは、いま」です。
クルド人家族との出会いから「難民鎖国」日本を考える」、というタイトルで原稿を書かせて頂きました。クルド難民Mさんのことも触れさせて頂きました。よろしければぜひご覧下さい。
貴重な機会を頂き、ありがとうございました。

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財団法人 文民教育協会 子どもの文化研究所
http://www.kodomonobunnka.or.jp/index.htm
『子どもの文化研究所』は、子どもの文化と保育・教育に関わるさまざまな分野の人が集まり交流し、創造と研究にチャレンジしています。
市場の原理では果たせない子どもの立場に立った実践と研究を発信しています。
(子どもの文化研究所webサイトより)