クルド人難民Mさんを支援する会 ブログ

日本で難民申請をしているクルド人の難民、Mさんを支援する会のブログです。支援の状況をタイムリーにお知らせします。 支援会本サイトはhttp://chechennews.org/msan/です。

ドキュメンタリー映画「東京クルド」を観て来ました

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渋谷のシアターイメージフォーラムドキュメンタリー映画「東京クルド」を観て来ました。

とても良い内容でした。観ていて何かせずにはいられない気持ちがこみ上げてきます。日向史有監督の舞台挨拶もとても良かったです。
私は17年間クルド難民の支援を続けていますが、こういうドキュメンタリーが出てきてくれることを、ずっと待ち望んでいたのだと感じました。

日本で暮らすクルドの人たちの、とりわけ日本で育った彼らの日々の姿を見れば、難民を受け入れると日本の負担が増えるとか、治安が悪化するとか、そういう誤解や不安は吹き飛ぶと思いました。

理不尽な状況は観ていて胸が痛くなりますが、それ以上に主人公のラマザン君とオザン君を応援したくなります。
そしてなぜ入管はこの人たちを受け入れないのか?という疑問がふつふつと湧いてくると思います。
この人達を追い出すことは一体誰が望んでいることなのか?

映画の中で、ラマザン君は通訳になるという夢を叶えるために、多くの語学学校に電話しますが、仮放免であることを理由に断られ続けるシーンがあります。それでも進学の夢を捨てず、ラマザン君は自動車大学校に入学し、整備士を目ざします。
「やらないでダメだったより、やってダメだった方がいい」という言葉が心に残ります。

また、オザン君が解体現場で働いたり、解体以外の仕事をしたいと思い、ラマザン君の励ましを受けて、芸能事務所で面接を受け、芸能活動に踏み出そうとするシーンもあります。そしてオザン君はそれを隠さずに入管に伝えます。入管は仮放免中の人の就労を禁じているため、就労を理由に収容されるリスクもありるにもかかわらずです。
夢のためにと正面から就労許可をもらいに行っても入管では一顧だにされず、許可はもらえません。芸能事務所にそれを伝えるオザン君の姿は心が痛くなります。

自分の努力でどうにもならない、圧倒的な不条理が彼らの人生を覆っているのです。

彼らの姿を見て「頑張って」と言うのは躊躇われます。
これ以上ないくらい頑張っている人たちに、一体なにを頑張らせようというのか。
これは彼らの問題ではなく、私たち日本社会の側の問題なのだと気付かせてくれます。
入管は、これがルールだからですとか、ルールを守れと言いますが、でもそれはルールの方がおかしいのではと感じます。

映画のラスト、オザン君が暗闇の中、車を猛スピードで走らせるシーンは強い印象を残します。唸りを上げるエンジンの音は彼の叫びにも聞こえます。
自分を認めてくれるところに行きたい。
その声に応えるのは誰なのか。それは私たち自身しかないと思います。

ウィシュマさんが亡くなられた事件を通じて入管の問題が社会に知られるようになりました。入管法改正案の成立が見送られた今、私たちの社会はどうあるべきなのか。深い示唆を与えてくれる映画「東京クルド」。
今ぜひ多くの方に観て頂きたい一本です。

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上映情報

映画「東京クルド TOKYO KURDS」 本日より公開です。
https://tokyokurds.jp/

夢みてしまった。絶望の国で―――18歳のオザンと19歳のラマザン 差別的な入管法
1%に満たない難民認定率 それでも青春を生きる二人の物語

2021年/日本/103分/カラー/DCP/配給:東風
2021年7月10日公開~終了未定

 

東京・渋谷シアターイメージフォーラムにて7月10日より公開。

●7月10日(土) 全回、日向史有監督による舞台挨拶開催

※11:00/13:30/16:00の回→上映後15〜20分程度の舞台挨拶
18:30の回→上映前に5分程度の舞台挨拶


●上映時間7/10㊏〜7/16㊎ 11:00/13:30/16:00/18:30

 

【上映館情報】

(関東)

東京都
渋谷区
シアター・イメージフォーラム 7月10日(土)より公開

●上映時間7/10(土)〜7/16(金) 11:00/13:30/16:00/18:30

*7/17(土)以降も続映ですが上映回数が少なくなります。
 お早めにどうぞ!

埼玉県
川口市
イオンシネマ川口 7月16日(金)より公開
クルドの方々にも見に行きやすい川口で上映です!

川越市
川越スカラ座 9月4日(土)~9月17日(金)

群馬県
高崎市シネマテークたかさき 7月31日(土)より公開
●7月31日(土) 12:50の回上映後、日向史有監督によるリモート舞台挨拶開催

神奈川県
横浜市横浜 シネマ・ジャック&ベティ近日公開


(中部)

愛知県
名古屋市名古屋シネマテーク 7月31日(土)より公開

石川県
金沢市シネモンド  7月31日(土)~8月6日(金)
                   備考: 8月4日(水)休映

新潟県
上越市高田世界館  7月31日(土)~8月13日(金)
                   備考: 火曜休映
新潟市シネ・ウインド   9月4日(土)より公開

長野県
長野市長野相生座・ロキシー9月17日(金)より公開


(近畿)

大阪府

大阪市
第七藝術劇場7月10日(土)より公開
●7月11日(日) 12:10の回上映後、日向史有監督による舞台挨拶開催

京都府

京都市
出町座7月23日(金祝)より公開
●7月23日(金祝) 11:35、13:35の各回上映後、日向史有監督による舞台挨拶開催

兵庫県
神戸市
元町映画館7月24日(土)より公開


(中国・四国)

広島県

広島市
横川シネマ 8月8日(日)より公開

愛媛県

松山市
シネマルナティック近日公開
備考: 火曜休映

(九州・沖縄)

福岡県

福岡市
KBCシネマ1・2近日公開

大分県

大分市シネマ5 8月7日(土)~8月13日(金)
備考: 8月9日(月)休映


多くの著名人の方がコメントを寄せています。

温又柔さん   小説家、
上出遼平さん  テレビ東京『ハイパーハードボイルドグルメリポート』プロデューサー、
諏訪敦彦さん  映画監督
せやろがいおじさん(えもやん) お笑い芸人、YouTuber、
高谷 幸さん  東京大学教員
鴇沢哲雄さん  フリーライター、「日本で生きるクルド人」著者、元毎日新聞記者
中島京子さん  小説家
西森路代ざん  ライター、ハン・トンヒョン日本映画大学教員、
星野智幸さん  小説家、
堀潤さん    ジャーナリスト/映画監督、
望月衣塑子さん 東京新聞記者、
望月優大さん  ライター、
森達也さん   映画監督・作家、
綿井健陽さん  ジャーナリスト・映画監督
※五十音順/敬称略

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