クルド人難民Mさんを支援する会 ブログ

日本で難民申請をしているクルド人の難民、Mさんを支援する会のブログです。支援の状況をタイムリーにお知らせします。 支援会本サイトはhttp://chechennews.org/msan/です。

仮展示をしました

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仮展示をしました

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写真展の仮展示をしました。写真家の齊藤幸子さんも作品を持っておいで下さいました。「収容ではなく安心安全な暮らしを」のメンバーの方からは、東京入管の模型と収容者を模したお人形が届きました。
クルドを知る会の中島由佳利さんのトルコのクルド人地域の写真や共同通信の写真部の皆さんの在日難民の写真、写真展のポスターなど作品を並べて、展示のイメージを膨らませました。
多くの方に素晴らしい作品をご提供頂き、とても嬉しく思いました。心から感謝致します。本当にありがとうございます。

仮展示の作業をしていたところ、画廊のあるロビーで多くの方が集まっていらっしゃいました。何か催しがあるのかと思って見てみると階上のホールで沖縄の辺野古についての学習集会があるようでした。
辺野古の米軍基地問題について関心がある方は、きっと「送還忌避罪」についても関心を持って下さるだろうということで、写真展のチラシをお渡ししました。送還忌避罪について説明した補足チラシも一緒にお渡ししました。
一人の方が「この送還忌避罪の法案は本当にひどいわよね!どうしてこんなことするのかしら。本当に恥ずかしいわ!」と言って、憤って下さいました。
他にも何人かの方が「いつからやるんですか?」「ここでやるんですか?」「重要な問題を扱っていますね」と声を掛けてくださいました。大変嬉しく思いました。

知り合いの方が通りかかったので「ルポ入管」をお勧めしたところ、早速ご購入下さいました。ありがとうございます!

「ルポ入管」の販促用のチラシもぜひご覧ください。

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「ルポ入管 絶望の外国人収容施設」平野雄吾(著) ちくま新書 のチラシです



【緊急開催】難民・入管収容問題パネル・写真展  
「ストップ!『送還忌避罪』 長期収容の先にあるもの」
“What comes after long-term detention?”
Panel and photo exhibition on refugees and immigration detention issues
日時:2020年10月18日(日)~10月25日(日) 9:00~21:00
※初日は15時から・最終日は17時まで
入場無料
会場:日本教育会館1階 一ツ橋画廊

http://kurd-m-san.hatenablog.com/entry/2020/10/25/

 

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写真展のポスターです

 

ちくま新書「ルポ入管 絶望の外国人収容施設」 平野 雄吾(著)

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ちくま新書の「ルポ入管 絶望の外国人収容施設」 平野 雄吾(著) の発売日だったので、神保町の三省堂に行ってみました。
2階の文庫・新書売り場の目立つところに平積みで置いてありました。

 

まだ読んでいる途中ですが、非常に良い本だと思いました。

第一章にはクルド難民バリバイ一家のエピソードが掲載されています。
トルコで暮らしていた一家はトルコの憲兵ジャンダルマの度重なる襲撃と拷問によって、これ以上トルコでは暮らせないと感じ、次々と日本に逃れてきます。日本ではあまり馴染のないクルド問題ですが、トルコにおいてクルド人はどのような状況に置かれているのかを詳細に解説しながら、日本にクルド人が逃れてくる経緯を非常に丁寧に書いています。

過酷な境遇から逃れてきたにもかかわらず、日本で待ち受けていたのは入管への収容や、難民として認められず保護が受けられない不認定の結果。
裁判所でのやりとりは非常に象徴的で、なぜ日本が難民認定率民0.4%の「難民鎖国」と
言われるのか、原因がよく分かります。
逃れてきた難民を心身ともに追い詰めていく入管制度に、多くの方が驚きと制度への疑問を感じると思います。

様々な難民や移民のエピソードを交えながら入管制度の問題点を指摘し、最終章は「国家主権と外国人」という形でまとめられています。

法務省の専門部会が「送還忌避罪」の創設や、複数回難民申請を繰り返す人を強制送還できるように提言したことにも触れられています。
入管問題とはどのようなものか、私たちの社会はどうあるべきなのか。
臨時国会で法案が提出されようとする今、ぜひとも多くの方に読んで頂きたい本となっています。

 

「ルポ 入管 絶望の外国人収容施設」 平野 雄吾(著)
 ちくま新書 筑摩書房 1,034円(税込)
 ISBN 9784480073464  
 発売日 2020年10月12日

 

https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480073464/

www.chikumashobo.co.jp

 

 

写真家の齊藤幸子さんとお会いしました

日本に住むクルドの若者たちを撮影している、写真家の齊藤幸子さんとお会いしました。写真展への出品をお願いしたところ快く引き受けて下さったのです。急なお願いだったにも関わらず、本当にありがとうございます!

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会場の下見と打ち合わせを兼ねて、一ツ橋画廊までご足労頂きました。雨の中、誠にありがとうございます。
「どのような感じの展示が良いですか?」とご質問頂きました。
クルドの若者たちの日常風景や気持ちが伝わるような展示をお願いできれば思っています。
特別な変わった人たちではなく、既に何年も日本で暮らしているということが伝わればと思います」とお話ししました。
「既に隣人として私たちとともに暮らしているということですよね。明るい感じがいいのですか?」と、すぐに返して下さいました。
「明るい写真も必要なのですが、明るく楽しそうにしているけれども、実はその生活は、薄氷を踏むような不安定な状況の上にあるということを伝わればと思います。」とお伝えしたところ、
「そうですね。明るい写真だけだと問題が伝わらなくて、楽しくやっていると誤解されてしまうし、暗い写真だけだと辛い状況の大変な人たちという目で見られて不本意ですよね。
ギリギリの状況だけど頑張って自分の力で生きようとしている感じですね」と、打てば響くように応えて下さいました。
私が伝えたいことを即座に汲み取って下さって本当にびっくりしました!
やはり表現者の方というのは、感性が豊かなのです。相手の伝えたいことを感じる力がすごいのだなあ!と思いました。

これまで難民問題のことを展覧会や講演会など様々な形で発信して来たわけですが、
多くの方が共感してくださる一方で、いつの場合でも「でも、日本は難民を受け入れられない
と思う」というご意見の方が必ずいらっしゃいました。
長年、この「でも」の意味するところが分からず、話が平行線になってしまうことが多かったのですが、最近になってようやく「言葉も文化も全く違う外国人がいきなり、大勢やってくると感じているのだ」と思い当たりました。
その誤解を解く必要があると思いました。

齊藤さんの写真は、その誤解を解いてくれる大きな力になってくださると感じました。

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■10/18-25難民・入管収容問題パネル・写真展「ストップ!『送還忌避罪』長期収容の先にあるもの」 日本教育会館一ツ橋画廊
■10/25 Zoomトークイベント「『送還忌避罪』とは何か?」


http://kurd-m-san.hatenablog.com/entry/2020/10/25/

10月4日東京新聞朝刊の22ページに、在留特別許可についての記事が掲載されています。
共同通信からも記事が出ています。

在留特別許可が「申請制」に 入管庁、難民認定と分離
共同通信 2020年10月3日

https://this.kiji.is/685068726334981217

this.kiji.is

在留特別許可について簡単にご説明しますと、在留期間を過ぎて日本に滞在すると超過滞在となり、日本から出るように退去強制手続きが始まりますが、実際には日本人との結婚や、難民として保護を求めている、日本で生まれた子ども、幼い頃に日本に来ての本で育っている子どもなど、出国できない事情があり、日本で暮らすことを希望する人たちがいます。そのような人たちを救済する制度が在留特別許可です。

今までは退去強制手続が進んだり、難民申請の審査が進んだ最後に、法務大臣の自由裁量として在特を出すかどうかの判断をしていました。そのため在特が出るかどうか結果が出るまでに非常に時間がかかりました。「申請制」になることで長い手続きを経ずに最初から在特の申請ができるのは良いと思います。

ただ気を付けないとならないのは、この10年で在特が許可される人数は85%近く減少しています。2008年には8522人(難民認定にかかわるものを除く)に在特が出ていましたが、2018年は1370人にまで減少。在特のガイドラインは変わっていないのに以前なら在特が出ていたケースが今は出ない事が多々あります。

ですので「申請制」にしても、年によって基準が変わってしまったり、現在のような少ない人数しか救済されないのであれば、あまり意味はないと思います。

基準を明確にし、帰国できない事情を抱える人がきちんと救済されるように望みます。

こちらの記事はとても良い内容なので、ぜひご覧ください!

「在留特別許可」10年で8割減、東京五輪が影響?
「平等、適正な判断を」|弁護士ドットコムニュース

https://this.kiji.is/685068726334981217

 

www.bengo4.com

 

チラシを配りました

チラシが届いたので、早速、配りにいくことにしました。
写真展を開催する日本教育会館の大きな会議で、チラシを配布させていただきました。
チラシをご覧になった何人かの方から、ぜひ参加しますと声をかけて頂きました。
大変嬉しく思いました。ありがとうございます!

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チラシが届きました!

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配布させて頂きました

 

10/18-25【緊急開催】難民・入管収容問題パネル・写真展 「ストップ!『送還忌避罪』長期収容の先にあるもの」

10/25オンライントークイベント「『送還忌避罪』とは何か?」

詳細はこちらをご覧ください。

http://kurd-m-san.hatenablog.com/entry/2020/10/25/

kurd-m-san.hatenablog.com

 

 

9/21 入管収容についての抗議行動に参加しました  #JusticeForPatochan #BLMShinagawa

9/21(月)、入管収容についての抗議行動があったので、支援会メンバーが参加しました。
この抗議行動は、東京入管に収容されているフィリピン人のトランス女性パトさんの解放を求めるアクションと、黒人収容者への虐待に抗議する #BLMshinagawa のアクションとの共催となっていました。
ちなみにBMLというのは「ブラック・ライブズ・マター(Black Lives Matter 黒人の命を軽く見るな)」の訴えの略称です。
集合場所の品川駅前のふれあい広場に行くと80人ほどの参加者がおり、スピーチに耳を傾けていました。

黒人の女性からの言葉ということで、入管での面会活動を続けるナイジェリア人女性のエリザベスさんのスピーチがありました。
ナイジェリアでは、あちこちで虐殺が起きている。だから帰ることはできない。難民を助けてほしい。お願いだから!と繰り返し訴えていました。
また、入管に収容されている男性がおり、その方は日本人の配偶者がいて、生まれたばかりのお子さんが3か月も入院中となっている。それにもかかわらず仮放免が認められず、家族がバラバラになっている。外国人でビザがないと言う理由でなぜこのようなひどいことをことをするのか、差別はやめて欲しい、という訴えがありました。

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入管での面会活動を続けるナイジェリア人女性のエリザベスさんのスピーチ


また、白人の男性からは、自分はLGBTではないのですが、収容されているトランス女性のパトさんの人権についての訴えますということで、アピールがありました。
皆さん真剣な表情で聞き入っていました。

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  東京入管に収容されているトランス女性のパトさんの人権についての訴え

 

参加されている人は、年齢も様々、外国にルーツを持っていると思われる人たちが多数。黒い服を着ている人が多く、黒人の方々の人権に連帯しているのだろうと感じました。もちろん普段、市民運動のデモに参加しているような方々も。
プラカードは英語のものがかなりあり、BMLの文字が書かれたレインボーフラッグも。
入管問題に関心を寄せて下さる方に広がりが出てきたと感じました。人種差別やトランスジェンダー差別など、入管の収容問題というのは様々な形で人権侵害を含んでいるのだと感じました。

17時からデモに出発です。品川駅を出発しビル街を通り抜け、高層マンション群が立ち並ぶブロックを歩きます。マンション群の交差点や歩道には家族連れがかなりおり、デモ隊をしげしげと眺めています。そういった沿道の人に入管収容や人種差別、トランスジェンダーの問題を呼びかけながら東京入管に向かって進んでいきます。

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品川駅から東京入管に向かってデモ行進

橋を渡ると東京入管が見えてきます。段々、日が暮れて来て、街に明かりが灯ります。
入管に近づくにつれ人通りは全く無くなってきますが、しかし、入管の上層階にはまだたくさんの人たちが収容されているのです。

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入管の周りを3周しながら様々なコールが行われました。
収容者を解放を求めるものや、難民をきちんと認定するように求めるもの、「送還忌避罪」に反対するもののほか、
トランス男性は男性であること、トランス女性は女性であること、ノンバイナリーはノンバイナリーであることを訴えるものなどがあり、東京入管に収容されているフィリピン人のトランス女性パトさんの解放を求めました。
ちなみにノンバイナリー(non-binary)とは、身体的性に関係なく自身の性自認・性表現に「男性」「女性」といった枠組みをあてはめようとしないセクシュアリティとのことです。知らなかった言葉なので、勉強になります。

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秋の臨時国会では強制送還を拒否する外国人に対し「送還忌避罪」という罰則を科すことが検討されようとしています。それに反対するプラカードも。

そして、入管によって命を奪われた黒人男性への暴力と人権侵害への訴えもありました。
「Say His Name!(彼の名前を言って!)」のコールの後「スラジュさん!」と続き、もう一度、「Say His Name!」のコールの後「サニーさん!」と続きました。

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「入管は黒人の殺害をやめろ!」と書かれたプラカードも。亡くなられた黒人の方々の名前が書かれています。

コールを聞いていてとてもジーンと来ました。スラジュさんはガーナ人の男性で、日本人の女性と結婚していたにもかかわらず強制送還されることになってしまい、拒否したために、入管職員から手錠とタオルで猿ぐつわをされ、その結果、飛行機の中で息絶えてしまった方です。2010年に起きた事件です。
サニーさんはナイジェリア人の男性で、日本人の女性との間に娘さんがいましたが、長期間収容されていました。仮放免を求めて何度も申請を出しましたが認められず、収容は3年7月も続きました。絶望したサニーさんは最後は入管で出される食事を一切拒否し、そして目を開けたまま、痩せ細った姿で餓死したのです。2019年6月に長崎の大村入管で起きた事件です。
黒人の人たちへの許しがたい差別が起きたことを、多くの方がコールして下さって、なんだか感無量でした。人間の命が入管によって失われたにもかかわらず、入管職員も法務省も日本政府も、誰一人、責任を取らなかったのです。しかし、こうしてたくさんの人たちにコールして頂いて記憶に刻まれることは、これからこの社会の何を信じていけばいいのだろうかと考える時、とても励みになると感じました。

LGBTクィアやノンバイナリーの問題も、BLMの問題も、まだまだ私は勉強不足ですが、入管問題を通じて、多くの人たちとつながっていきたいと思いました。

デモが終わった後、解散地点の公園で主催者の方のお話しを伺いました。その最中に、東京入管に収容されているトランス女性のパトさんから電話がかかってきました。「皆の声、聞こえたよ。ありがとう」と話して下さいました。
入管の周りをデモ行進している時も、何度も収容者の皆さんの「ありがとうー!」という声が聞こえました。

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入管の収容施設からは収容者の声が。デモのコールに対して「ありがとうー!」という感謝の声が聞こえ、デモ参加者も「聞こえるよー!」「ありがとうー!」と応えます。

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入管の収容施設では、まだ多くの人たちが苦しんでいるのだと改めて感じました。
収容されている人たちの苦しみをよそに、法務省は強制送還を拒否する人たちへの厳罰化を検討しています。難民申請中の人を強制送還できるような法改定もされようとしています。
帰国できない事情を抱えた外国人を、更に追い詰めていくような仕組みが作られようとしているのです。
多くの方にそのことを知って頂き、危機感を共有することで、この局面を乗り越えていきたいと思いました。

 

【緊急開催】難民・入管収容問題パネル・写真展 「ストップ!『送還忌避罪』 長期収容の先にあるもの(仮題)」

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【緊急開催】難民・入管収容問題パネル・写真展  

タイトル:「ストップ!『送還忌避罪』 長期収容の先にあるもの(仮題)」

日時:2020年10月18日(日)~10月25日(日)
   9:00~21:00
※初日は15時から・最終日は17時まで

   入場無料

会場:日本教育会館1階 一ツ橋画廊

   https://www.jec.or.jp/access.html

   〒101-0003 千代田区一ツ橋2‐6‐2
   地下鉄神保町駅(A1出口)下車徒歩5分
   道案内専用電話 03-3230-2833

アクセス:地下鉄神保町駅(A1出口)徒歩5分

主催:クルド人難民Mさんを支援する会