ちくま新書の「ルポ入管 絶望の外国人収容施設」 平野 雄吾(著) の発売日だったので、神保町の三省堂に行ってみました。
2階の文庫・新書売り場の目立つところに平積みで置いてありました。
まだ読んでいる途中ですが、非常に良い本だと思いました。
第一章にはクルド難民バリバイ一家のエピソードが掲載されています。
トルコで暮らしていた一家はトルコの憲兵ジャンダルマの度重なる襲撃と拷問によって、これ以上トルコでは暮らせないと感じ、次々と日本に逃れてきます。日本ではあまり馴染のないクルド問題ですが、トルコにおいてクルド人はどのような状況に置かれているのかを詳細に解説しながら、日本にクルド人が逃れてくる経緯を非常に丁寧に書いています。
過酷な境遇から逃れてきたにもかかわらず、日本で待ち受けていたのは入管への収容や、難民として認められず保護が受けられない不認定の結果。
裁判所でのやりとりは非常に象徴的で、なぜ日本が難民認定率民0.4%の「難民鎖国」と
言われるのか、原因がよく分かります。
逃れてきた難民を心身ともに追い詰めていく入管制度に、多くの方が驚きと制度への疑問を感じると思います。
様々な難民や移民のエピソードを交えながら入管制度の問題点を指摘し、最終章は「国家主権と外国人」という形でまとめられています。
法務省の専門部会が「送還忌避罪」の創設や、複数回難民申請を繰り返す人を強制送還できるように提言したことにも触れられています。
入管問題とはどのようなものか、私たちの社会はどうあるべきなのか。
臨時国会で法案が提出されようとする今、ぜひとも多くの方に読んで頂きたい本となっています。
「ルポ 入管 絶望の外国人収容施設」 平野 雄吾(著)
ちくま新書 筑摩書房 1,034円(税込)
ISBN 9784480073464
発売日 2020年10月12日
https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480073464/