8月10日から20日まで開催されました写真・パネル展示「広島で 日本の入管、難民問題を考える 日本で暮らすクルド難民の今」は、無事に終了しました。
広島は入管や難民の問題を初めて知る方が多いと聞き、初めての方にも分かりやすいような展示を心掛けました。
日本の難民問題・入管問題・クルド難民問題は、日本政府の難民に対するダブルスタンダードや、景気や労働力需要、社会情勢によって変わる非正規滞在外国人への対応、トルコと日本との国家間の関係など、様々な要素が絡み合っているので、どうやって説明すれば伝わるかいつもとても迷います。
あるジャーナリストの方のにそのことをお話ししたところ「起きた事実を丁寧に伝えていけば、自然と問題が浮かび上がってくるんですよ」とアドバイスを頂きました。大変ありがたく思いました。
アドバイスをもとに4W1Hを大切にしながら写真のキャプションを作成し、日本の難民問題については時系列に写真を並べて、展示レイアウトを作りました。展示作業は広島の主催者の皆さんが担当して下さいました。本当にありがとうございます。
8月10日に行われたトークイベントの終了後には、多くの方がご来場してくださいました。とても嬉しく思いました。イベントや写真展の感想を伺いました。
・広島にも原爆によって被曝した在日の方の問題などがあり、被曝したにもかかわらず十分な補償が受けられていないといったことがあります。そういった問題と関連してこの問題を考えていきたいと思いました。
・難民の方とオンラインでお話しできて、今まで遠い存在だったと思っていた人たちを身近に感じることができて良かったです。難民の人たちは自分の力で働いて生活しようとしていることが分かりました。そのことを多くの人が知れば難民に対する印象が変わってくるのではないかと思いました。
と話して下さいました。
難民支援の糸口を教えて頂けてとても嬉しく思いました。
写真展2日目も、何人かの方とお話しさせて頂くことができました。
環境問題に関心が高いという方がご来場くださいました。
クルド人問題というのはどういうものなのですか、とご質問頂きました。
展示したパネルをご覧いただきながら、ご説明させて頂きました。
クルドの人たちが住む地域を示しながら、この辺りは石油などの天然資源が豊富な地域なのでどの国も手放したくないのです、とお話しすると、
「やっぱり石油が問題なのね!石油は環境にも良くないしね!とてもよく分かったわ!」と仰っていただけました。とても嬉しく思いました。
広島で有名なアンデルセンというパン屋さんのお菓子までいただいてしまいました。本当にありがとうございます。
1時間以上かけて展示を全てご覧になっていた女性がいらっしゃいました。ぜひ感想を伺いたいと思ってお声掛けすると「とてもメッセージ性が高い展示だと思いました」
と仰った後、堰を切ったようにたくさんの質問をして下さいました。
「デニズさんという方はなぜ入管の中であのような暴行を受けたのですか。手錠をした上で暴行をするなんて、まるで拷問じゃないですか!こんなことを職員がしてもいいのですか。裁判を起こしたそうですが、裁判官は何といっているのですか。日本の中でこんなことが起きているなんて本当に驚きました。こういうことはもっとマスコミが報道するべきなんじゃないですか?デニズさんには裁判に絶対勝ってもらいたいと思います!
トルコはどうしてクルドの人たちを迫害するのですか?日本はどうして難民を受け入れないのですか?トルコから来たクルド難民を一人も受け入れないのはどうしてですか?どうして普通に日本で暮らしていた人が長期収容されてしまうのですか?犯罪者でもないのに。
仮放免というものをされても、仕事をすることができないというのはどういうことですか?この辺りにも外国人の人がたくさんいますよ。ちょっとこの先にいけばフィリピンの人や中国の人がいっぱい仕事していますよ。あの人たちは働いているのに、難民の人たちは働くビザがもらえないというのはどういいうことなんですか?」
実にたくさんの質問をしてくださいました。本当に嬉しく思いました。写真や展示してあるパネルをご覧いただきながら、一つ一つお答えさせていただきました。
最後に「日本やトルコでこのようなことが起きていることを全く知らなかったので、驚きました。21世紀のこの世界でこんなことが起きているなんて、びっくりしました。一人でも多くの広島の人に見てもらいたいと思いました」と仰ってくださいました。
写真・パネル展を開催してとても嬉しいのは、こうやって展示に込めたメッセージを真っ直ぐに受け止めて下さって、まるで自分の身に起きたことのように怒ったり悲しんだりして頂けることです。
今までこの問題を知らなかった方や関心が無かった方にも、知るきっかけにつながっていくことが、こうした公共施設での展覧会の素晴らしさだと感じました。
広島で開催させて頂けて本当に良かったと思いました。
クルド人ジャーナリストレフィク・テキン(Refik Tekin)さんによる、トルコにおけるクルド人弾圧の写真を展示させて頂きました。レフィクさんの顔写真はフォトジャーナリストの高橋邦典(Kuni Takahashi)さんの撮影です。
「日本で暮らすクルド人難民の今」と題して、日本で収容に苦しむクルド難民の方々の写真や、支援の状況をご紹介するパネル、日本の難民問題、入管問題を説明するためのパネルを展示しました。
クルド難民デニズさんの写真は、デニズさんを継続取材されているフリージャーナリストの樫田秀樹さんにご提供いただきました。