展覧会9日目。
緊急講演会「改正入管法の陰で 長期収容に苦しむ難民申請者たち」と題しまして、
大橋毅弁護士(クルド難民弁護団)による講演会を行いました。
30人ほどの方にご参加いただき、会場は満席となりました。
毎日新聞や東京新聞を見て来られた方や、通りすがりに興味を持って参加してくれた方、たまたま通りかかって興味を持って下さり、チラシをお渡ししたところ、すぐに署名をして下さった方もいらっしゃいました。
大橋弁護士は、静かな口調で分かりやすくお話しして下さいました。
入管の難民申請者や収容者への対応を、スライドで実際の書類を提示しながら
解説して下さいました。
体調不良になっても、入管の収容所内ではすぐに医療が受けられず長期間待たされること、また仮放免許可が出て収容所から出られたとしても、就労禁止などの条件を付けられること、日本人と結婚している人であっても結婚ビザが出ずずっと仮放免状態の人もいること、そういったご夫婦に対して、在留資格は得られないと、入管職員が誤った説明をすることなど、数々の驚くべき事例が紹介されました。
入国管理局の対応に、参加者の皆さんはとても驚いていたようでした。
トルコにおけるクルド人の抑圧の状況を知って頂くために、大橋弁護士からクルド民族についての説明もされました。
続けてクルド人ジャーナリストRefikTekinさんが撮影した、2015年のトルコのジズレという街で起きたトルコ当局によるクルド人弾圧の様子を上映しました。
生々しい映像に、皆さん驚かれているようでした。
収容されているメメット・チョラクさんとイシル・フセインさんのご家族も会場に来て下さったので、ご家族からも現在の苦しい状況をお話しいただきました。
支援者のクルドを知る会の松澤さんから、支援の状況とメメットさん、イシルさんの面会時の様子などをご報告頂きました。
メメットさんが体調不良のため、職員に両脇を抱えられながら面会室に現われたことや、メメットさんに話し掛けても言葉を返すことができず、会話ができなくなっている状態であること、
イシルさんについては、絶望感からか日本人との面会を拒否するようになっており、面会室でガラス板越しではあるが2才の娘さんと触れ合うことだけを心の支えにしているようである、とのご報告がありました。
また、支援者の粘り強い取り組みにより、6月10日(月)にようやく家族面会というガラス板越しではなく直接触れ合える形での面会ができるようになり、
ささやかではありますが、家族の交流が持てるという成果が得られた、とのご報告がありました。
質疑応答では、入管内では収容者が体調不良になって診察を希望しても、
なぜそんなに長期間、診察を受けられないのか?収容者が多すぎて、医者が診察しきれないのか?などの質問がありました。
会の終了後も、大橋弁護士に話し掛けるメディア関係者の方や、クルド難民のドキュメンタリーを撮影されたいということでクルドのご家族に話し掛ける学生の方など、様々な交流が持たれました。
クルド難民にとって大変厳しい状況が続きますが、発信を続けていけば多くの方が関心を寄せて下さるのだと実感しました。
これからも、情報発信を続けていこうと思いました。
大橋 毅 弁護士 (クルド難民弁護団)
講師プロフィール
20年以上にわたりクルド人難民の弁護活動を続ける。クルド難民弁護団事務局長。弁護団は1997年に発足し、トルコ国籍クルド人難民申請者らの法的援助を行っている。東京弁護士会所属。