クルド人難民Mさんを支援する会 ブログ

日本で難民申請をしているクルド人の難民、Mさんを支援する会のブログです。支援の状況をタイムリーにお知らせします。 支援会本サイトはhttp://chechennews.org/msan/です。

9/21 入管収容についての抗議行動に参加しました  #JusticeForPatochan #BLMShinagawa

9/21(月)、入管収容についての抗議行動があったので、支援会メンバーが参加しました。
この抗議行動は、東京入管に収容されているフィリピン人のトランス女性パトさんの解放を求めるアクションと、黒人収容者への虐待に抗議する #BLMshinagawa のアクションとの共催となっていました。
ちなみにBMLというのは「ブラック・ライブズ・マター(Black Lives Matter 黒人の命を軽く見るな)」の訴えの略称です。
集合場所の品川駅前のふれあい広場に行くと80人ほどの参加者がおり、スピーチに耳を傾けていました。

黒人の女性からの言葉ということで、入管での面会活動を続けるナイジェリア人女性のエリザベスさんのスピーチがありました。
ナイジェリアでは、あちこちで虐殺が起きている。だから帰ることはできない。難民を助けてほしい。お願いだから!と繰り返し訴えていました。
また、入管に収容されている男性がおり、その方は日本人の配偶者がいて、生まれたばかりのお子さんが3か月も入院中となっている。それにもかかわらず仮放免が認められず、家族がバラバラになっている。外国人でビザがないと言う理由でなぜこのようなひどいことをことをするのか、差別はやめて欲しい、という訴えがありました。

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入管での面会活動を続けるナイジェリア人女性のエリザベスさんのスピーチ


また、白人の男性からは、自分はLGBTではないのですが、収容されているトランス女性のパトさんの人権についての訴えますということで、アピールがありました。
皆さん真剣な表情で聞き入っていました。

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  東京入管に収容されているトランス女性のパトさんの人権についての訴え

 

参加されている人は、年齢も様々、外国にルーツを持っていると思われる人たちが多数。黒い服を着ている人が多く、黒人の方々の人権に連帯しているのだろうと感じました。もちろん普段、市民運動のデモに参加しているような方々も。
プラカードは英語のものがかなりあり、BMLの文字が書かれたレインボーフラッグも。
入管問題に関心を寄せて下さる方に広がりが出てきたと感じました。人種差別やトランスジェンダー差別など、入管の収容問題というのは様々な形で人権侵害を含んでいるのだと感じました。

17時からデモに出発です。品川駅を出発しビル街を通り抜け、高層マンション群が立ち並ぶブロックを歩きます。マンション群の交差点や歩道には家族連れがかなりおり、デモ隊をしげしげと眺めています。そういった沿道の人に入管収容や人種差別、トランスジェンダーの問題を呼びかけながら東京入管に向かって進んでいきます。

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品川駅から東京入管に向かってデモ行進

橋を渡ると東京入管が見えてきます。段々、日が暮れて来て、街に明かりが灯ります。
入管に近づくにつれ人通りは全く無くなってきますが、しかし、入管の上層階にはまだたくさんの人たちが収容されているのです。

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入管の周りを3周しながら様々なコールが行われました。
収容者を解放を求めるものや、難民をきちんと認定するように求めるもの、「送還忌避罪」に反対するもののほか、
トランス男性は男性であること、トランス女性は女性であること、ノンバイナリーはノンバイナリーであることを訴えるものなどがあり、東京入管に収容されているフィリピン人のトランス女性パトさんの解放を求めました。
ちなみにノンバイナリー(non-binary)とは、身体的性に関係なく自身の性自認・性表現に「男性」「女性」といった枠組みをあてはめようとしないセクシュアリティとのことです。知らなかった言葉なので、勉強になります。

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秋の臨時国会では強制送還を拒否する外国人に対し「送還忌避罪」という罰則を科すことが検討されようとしています。それに反対するプラカードも。

そして、入管によって命を奪われた黒人男性への暴力と人権侵害への訴えもありました。
「Say His Name!(彼の名前を言って!)」のコールの後「スラジュさん!」と続き、もう一度、「Say His Name!」のコールの後「サニーさん!」と続きました。

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「入管は黒人の殺害をやめろ!」と書かれたプラカードも。亡くなられた黒人の方々の名前が書かれています。

コールを聞いていてとてもジーンと来ました。スラジュさんはガーナ人の男性で、日本人の女性と結婚していたにもかかわらず強制送還されることになってしまい、拒否したために、入管職員から手錠とタオルで猿ぐつわをされ、その結果、飛行機の中で息絶えてしまった方です。2010年に起きた事件です。
サニーさんはナイジェリア人の男性で、日本人の女性との間に娘さんがいましたが、長期間収容されていました。仮放免を求めて何度も申請を出しましたが認められず、収容は3年7月も続きました。絶望したサニーさんは最後は入管で出される食事を一切拒否し、そして目を開けたまま、痩せ細った姿で餓死したのです。2019年6月に長崎の大村入管で起きた事件です。
黒人の人たちへの許しがたい差別が起きたことを、多くの方がコールして下さって、なんだか感無量でした。人間の命が入管によって失われたにもかかわらず、入管職員も法務省も日本政府も、誰一人、責任を取らなかったのです。しかし、こうしてたくさんの人たちにコールして頂いて記憶に刻まれることは、これからこの社会の何を信じていけばいいのだろうかと考える時、とても励みになると感じました。

LGBTクィアやノンバイナリーの問題も、BLMの問題も、まだまだ私は勉強不足ですが、入管問題を通じて、多くの人たちとつながっていきたいと思いました。

デモが終わった後、解散地点の公園で主催者の方のお話しを伺いました。その最中に、東京入管に収容されているトランス女性のパトさんから電話がかかってきました。「皆の声、聞こえたよ。ありがとう」と話して下さいました。
入管の周りをデモ行進している時も、何度も収容者の皆さんの「ありがとうー!」という声が聞こえました。

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入管の収容施設からは収容者の声が。デモのコールに対して「ありがとうー!」という感謝の声が聞こえ、デモ参加者も「聞こえるよー!」「ありがとうー!」と応えます。

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入管の収容施設では、まだ多くの人たちが苦しんでいるのだと改めて感じました。
収容されている人たちの苦しみをよそに、法務省は強制送還を拒否する人たちへの厳罰化を検討しています。難民申請中の人を強制送還できるような法改定もされようとしています。
帰国できない事情を抱えた外国人を、更に追い詰めていくような仕組みが作られようとしているのです。
多くの方にそのことを知って頂き、危機感を共有することで、この局面を乗り越えていきたいと思いました。