クルド人難民Mさんを支援する会 ブログ

日本で難民申請をしているクルド人の難民、Mさんを支援する会のブログです。支援の状況をタイムリーにお知らせします。 支援会本サイトはhttp://chechennews.org/msan/です。

【速報】本日12時頃、フセインさんが東京入管から解放されました

本日、7月18日12時頃、東京入管に収容されていたクルド難民フセインさんは、仮放免が許可され、解放されました。
フセインさんのご家族と親族、支援者が出迎えました。
署名など、フセインさん解放にご協力いただいた皆様、本当にありがとうございました!

現場に行かれたクルドを知る会の中島由佳利さんよりご報告をいただきました。取り急ぎ、お知らせいたします。

フセインさんは「家族と一緒にいられるようになることが、嬉しい。
ずっとひどいことになっていた。地獄から天国に来たみたい。
奥さんも頑張った。奥さんも嬉しいよ。
でも、これからどうするか心配」と語っていたそうです。

「入管による長期被収容者フセインさんの解放によせての声明文」も出されましたので、こちらもぜひご覧ください。

 

   【入管による長期被収容者フセインさん、解放によせての声明文】

                                クルドを知る会
                              ⽇本クルド文化協会
                       クルド⼈難⺠民Mさんを支援する会

 本日(2019年7月18日)、品川にある東京出入国在留管理局の外国人収容所から、トルコ国籍のクルド人難民申請者フセインさんが仮放免された。1年8ヶ月に渡る長期収容であった。その間に壊れてしまったフセインさんの身体と心は、解放されたからといって、そう簡単に癒されるものではない。
 わたしたちはイシルさんへの面会、入管当局への申し入れや誓願書提出を、何度も何度も繰り返してきた。5月から始めた請願署名1500筆も提出した。弁護士はもちろん、医師や国会議員らの協力もあった。それでも、根本的な事態が劇的に動くことはなかったように見えていた。

 周囲の支援者らの努力はもちろんだが、フセインさんが解放された決め手は、本人の身体衰弱によるものである。フセインさんはすでに50日以上、食事が摂取できない状態に置かれていた。クルド人への弾圧に抗議し、トルコ国内で10年以上、政治犯の刑務所に拘束され続けたフセインさんは、入管に収容されている間に、身体的拷問を伴った拘禁状況がフラッシュバックし、精神的に追い詰められていった。心の拠り所である家族との面会も制限され、いつまで収容され続けるのかも分からない、日本の政府に自分の置かれた状況も理解されない…。そのようななかで、フセインさんは何度も自分自身の体を傷つけた。そのたびに懲罰房へ閉じ込められた。入管職員による蔑みの眼差しと冷酷な対応、入管内の医師によるやる気のない診察。壁に囲まれ、先の見えない絶望感。時間的にも空間的にも、そして心理的にも閉鎖された状況。

 そのようななかで、フセインさんは食べられなくなった。自分の意思で行うハンストとはまた違う。生きることができない状態に、追い込まれてしまったのだ。これはまぎれもない、虐待である。日本のなかで、閉鎖された拘禁状態におかれ、精神的拷問が行われたのである。イシルさんはやせ衰え、身体は壊れ、一気に年老いてしまった。そして今日、入管はフセインさんを解放した。その家族をも含めた、ひとりの人間の人生を壊して。
 牛久にある東入国管理センターの収容所から、7月4日、トルコ国籍のクルド人難民申請者Mさんが解放された。彼もまた、拒食症に陥り、体重が30キロも減っていた。彼に関しては、もうひとつ、入管の信じられない行為がある。Mさんが仮放免される1ヶ月ほど前に、兄弟のひとりが東京入管に収容されたのである。Mさんが収容に絶えられない状況だと認めた入管は、身代わりに兄弟を収容し、彼を解放したのではないだろうか。彼らの母親の嘆きは、想像を絶する。

 そこまでする『入管マインド』とは、一体何なのか。
直接外国人を支援する人も、それらのニュースを目にして心を寄せる間接的な支援者も、わたしたちは入管が行う外国人に対する虐待を嫌でも見せられている。入管は法務省下にある日本の行政組織である。日本人のなかに、気に入らない存在を徹底的に追い詰め、精神的に死ぬまで抑圧し続けるマインドがあることを見せつけられたような気がして、とても苦しい。これは、その状態を見せられた人間に対する虐待でもある。わたしたちは、こんな虐待をこれ以上加えられたくないし、黙って耐えることもしない。

 6月24日に、大村入管収容所でハンスト中であったとの情報もあるナイジェリア人が衰弱死した。牛久収容所では、6月に4人で始まったハンストが、現在は50人を超えるほどになっている。衰弱死を懸念した入管は、7月9日に牛久からハンスト中の4人の被収容者を仮放免したが、解放されたイラン人のひとりは「病気の人しか仮放免されないから、自分の体を傷つけるしかなかった」「センターを遺体で出るか、自分の足で出るかだった」(朝日新聞7.10)と言っている。命がけで収容所から出ようとする外国人。これ以上、犠牲者を出すことは何があっても許されないし、それを見せられることも絶対に拒否する。だが、見ないようにすることも出来ない今、わたしたち日本人が『入管マインド』とどう闘っていくのか、そのことが本気で問われている。