クルド人難民Mさんを支援する会 ブログ

日本で難民申請をしているクルド人の難民、Mさんを支援する会のブログです。支援の状況をタイムリーにお知らせします。 支援会本サイトはhttp://chechennews.org/msan/です。

クルド難民Mさんのお話を聞く会

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今日は二つ目の会期中イベント、クルド難民Mさんのお話を聞く会を開催しました。
あまり告知をしていなかったので、どれくらいの方においでいただけるか不安でしたが、7人の方にご参加いただけました。ご参加いただいた方、本当にありがとうございました。
アットホームな感じにしたかったので、温かいお飲物とお菓子をお出しして、寛いだ雰囲気でお話を聞いていただきました。

トルコから来たクルド難民Mさんの紹介を始めにしました。クルド人とはどういう人たちなのか、トルコでのクルドの迫害状況、日本に来た経緯、ずっと難民認定もされず不安定な立場で暮らしていること、原発事故が原因で家族が離れて暮らさなくてはならなくなってしまったことなどをお話ししました。
続いて、今、ヨーロッパ諸国にシリアやアフガニスタンからの難民が殺到していることをお話ししました。
内戦が続くシリアなどからヨーロッパを目指す人は、地中海経由だけでも46万人を超えました。ついに国境管理の強化に踏み切る国もでました。

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一方で、トルコのリゾート地、ボドルムに溺死した男の子の遺体が打ち上げられている写真。この写真がヨーロッパ中に大きな波紋を広げ、EU各国の政策に影響を与えたこと、男の子はシリアのアイン・アラブという町(クルド名:コバニ)から逃れてきた難民でクルド人であったことなどをお話ししました。

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難民問題によって激動しているヨーロッパの現状をざっくりとご紹介した後は、Mさんにお話しいただきました。
Mさんはトルコ国籍のクルド人ですが、 クルド人は同朋意識が強いのでシリアのクルド人の苦難についても強い思いを寄せていること、男の子が住んでいたアイン・アラブという町は、去年の10月はじめにイスラム国の襲撃を受け、爆弾テロによって30人以上が死亡、300人以上がイスラム国に拘束されたこと、アイン・アラブの町はトルコの国境から1.8kmしか離れておらず、この町に兄弟や親戚がいる人もいること、目の前の町がイスラム国に襲われているにも関わらずトルコ政府は救援に向かわなかったこと、アイン・アラブからトルコに逃れてきたクルド人たちを、トルコ政府は当初国境を封鎖しトルコ国内に入れなかったこと、それに対してトルコのクルド人たちが怒り各地でデモを行ったこと、などをお話しいただきました。

続いて、日本の難民受け入れ状況についてもお話ししました。
Mさんは日本に来て15年経ちますが、未だに難民認定されず、在留資格もなければ、就労資格も健康保険もない、不安定な状況で暮らしています。
Mさんのお兄さんはイタリアで難民申請して認められ、今はイタリアで暮らしているそうです。弟さんはオーストラリアで難民申請し、今はオーストラリア国籍を持っています。難民申請のときに、一度、裁判が開かれたそうですが、その時、裁判所から聞かれたのは、トルコのどの町の出身なのかということだけ。町の名前を言っただけで、難民と判断され、認定されたそうです。

少人数の会だったので、皆さんから感想をいただきました。
難民問題について、日本もきちんと向き合っていかないといけない、というご感想や、

外国人や難民がどんどん来るのが怖いという人もいるが、それはマスメディアなどによって植えつけられた先入観によるものが大きいのではないか、というご意見、
通訳をなさっている方からは、外国人への接し方が弁護士と入管職員とでは、全く違う。入管職員はまるで警察の取り調べのように外国人に接している、という体験談、
その他、入国管理局が難民の審査をすることが適切なのか、別の省庁でやったほうがいいのではないか、などのご意見を頂きました。
皆様から感想を言って頂き、本当に嬉しく思いました。
難民問題というと、遠い国の遠い話、自分とは関係ない話と受け取られることも多いのですが、おいで下さった方々の感想を伺って、細々と難民支援をやっている身としては、励まされる思いでした。

難民は今も世界中で発生していますし、ヨーロッパ諸国は殺到してくる難民に対して、今まさに決断を迫られています。
日本は難民鎖国と言われるほど難民受け入れに消極的で、2014年は5000人の難民申請者に対して、難民認定したのはわずか11人でした。認定率0.22%です。ヨーロッパ各国が何万人、何千人単位で難民受け入れを検討しているなか、日本のこの難民受け入れ人数はあまりにも少ないとしかいいようがありません。

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昨年はシリアからの難民申請者も60人いました。しかし、そのうち難民認定したのはわずか3人です。45人については人道的配慮という形の在留特別許可は出しましたが、難民としては認めませんでした。

受け入れなかったからといって、難民が消えていなくなるわけではありません。自分の国に帰れない難民は、安心して暮らせるところを見つけるために、彷徨を続けるだけです。
国際感覚を身につけましょうとか、国際貢献をしましょうというのは、政府がよく使う言葉です。しかしそれは、中東への多額の金銭のばら撒きではなく、自国への難民受け入れにおいて発揮して欲しいと思っています。